0. Summary(要約)
2022年から保険治療が始まって、体外受精の裾野は確かに広がった。
でも——なぜか、若い人が早い段階で降りていく。
お金の問題が解決したはずなのに。ストレスも保険前より下がっているはずなのに・・
製薬会社フェリング・ファーマが出した33ページの調査資料を読み込んで、私はある違和感を持った。
2022年(保険前)と2024年(保険後)の比較
行政・医療・当事者の立場から考える白熱のセミナーだった。
財源を出した国会議員も参加していた。
当然は意見は・・「保険治療の導入」は良かったに収束していく。もちろん問題点も発言された。
でも、体外受精を辞めていく彼女たちの声が、どこにも書いていなかった。
数値データの隙間から、その声を拾い上げてみる。→ FACTの数値は、見せ方次第でその声は消せるからだ。
不妊治療を始めて体外受精にSTEPUPをし保険治療を続ける中で
彼女たちが感じる何かモヤモヤした違和感の正体はなにか?
彼女たちは何を察知したのだろう?
でもこのDataの本質はそこではない
まず最初に・・ここで全体の答えを先に提示したいと思う。
この公なDataを一緒にあなたと検証したい。3ステップ。
▓ステップ1:
「なぜ若い人は, 早い段階にIVF保険治療を辞めるのか?」から最初は始まった。
多くのIVF保険治療の患者さん達は、治療を諦めたのではない。
本当に失われているのは「治療への意欲」ではなく、
「戦略変更を検討するタイミング」じゃないか?と思った。
確かに2022年からの保険治療によって経済的な入口は広がった。
▓ステップ2:
Dataを私なりに解析していくと・・
「なぜ保険で経済的障壁が下がったにもかかわらず、患者は治療継続ではなく
別の人生設計を選択するのか?」
という疑問が湧き上がってきた。そして、次の仮説が私の中で出てきた。
▓ステップ3:
「なぜ患者は「辞めた」のではなく、「戦略変更のタイミング」を見つけられなかったのか?」
しかし、治療を続けるべきか、方向転換すべきかを「判断するための情報設計」は、まだ十分ではない。
ここであなたは、IVF保険治療とか、自分とは関係ないと思って欲しくない。
確かに・・
「私はスタート時点から保険治療など年齢的も御縁がなかった。」とか
「縛りのある保険治療よりも早い段階で、フレキシブルな自由診療を主治医の勧めでスタートをしたんだ。」とか
思う反復不成功中の方もいるかも知れない。
今から話すIVF保険治療のリアルData(保険導入前とその後の比較)は、これは保険制度批判の記事ではない。
治療中断という現象の「本質な原因」を考えてみたい。
結論に言えば、それは「タイミングの不可視化」あり自分の意思決定の問題なのだ。
わかりやすく言うと
「意思決定の設計不良によって、患者が本来持っていた選択肢が見えなくなる問題」
これは、IVF保険治療の患者だけでなく、自由診療に移ろうと考えている患者、継続中の患者
そして「辞め時」をも考えている患者etc・・すべての女性に言える問題だと私は思っている。
体外受精という深い深い森の中に足を踏み入れるとき、体外を始めた最初の頃と最後の頃(治療に終止符を
打たねばならない)意思決定をする時に、患者さんたちは必ず心が揺れ、ざわつく。
本当にこれでいいのか?自分はどうしたいのか?という問いが自然を湧きおこると思う。
だから、「今どの地点にいて、次にどの戦略へ移行するべきか」をみんな考える。
そういうART患者さん達を、以下の2つのスキームで・・私はもう20年来ずっと観てきた。
ここには、Keywordをおいた。「医療スキーム」と「生活スキーム」とある意味・・対立する2軸だ。
スキームとはざっくりと言えば「構造」と捉えていいと思う。
また、政府側からみて「保険診療の導入」は成功だったとう結論ありきの有名なレポートを自分の目で
解釈してほしい。
ART治療は今回失敗したら、じゃあ次ぎ、じゃあ次ぎと怒涛のScheduleの中で
深い深いARTの森の中にひきこまれてゆくのは、皆様も自分の体験でいたいほどわかっていると思う。
ART(体外受精)の森には、2つの数字しかない。「0」と「100」だけだ。
「0」と「1」の2つの数字だけならばまだ自分で意思決定は容易だろう。でもレンジが広いのだ。
それを希望と呼ぶ人もいれば、不確実性の森と呼ぶ人もいるだろう。
今から、 「Data」というFACTを出していくので自分の目で判断をしてくれ。
そして「Data」の背景を読んでいってほしい。
さあ、はじめようか?これはセミナー(=教育)ではない。
じゃあ自分ならばその時・・どうする?と仮説と解決策を立ててほしい。
第1章:保険治療が始まる前とその後の比較:
治療を辞めた人と継続した人の数値データ
保険治療が始まる前とその後の比較で
治療を辞めた人と継続した人の数値データ
( by製薬会社フェリング・ファーマが出した33ページの調査資料 )
まずは私の意見の前にFACTを置く。

これは国による保険治療が始まる前とその後の比較で
治療を辞めた人と継続した人の数値データ。
|保険治療の段階で降りた人の理由|からUP
Dataをみる限り・・
費用は保険適用で凄く安くなった!お金の心配も凄く減った!
保険後は、費用理由で辞めた層が激減している。
「治療による感情的ストレス」も
Feb’22(保険前):58% ↘ Jan’24(保険後):45%
ストレスは下がっている。身体的ストレスもほぼ横ばい。
でも、ここにカラクリがある。
「別の人生設計を優先した」
Feb’22(保険前):45% ↘ Jan’24(保険後):30%
一見「減った」に見える。でもこれは母数と構成が変わっている。
母数は・・
保険前(N=31)↘↘ 保険後(N=20)。
母数が2/3になった中で
「別の人生設計」を1位に選んだ人の比率が上がった
1位と2位の塊をみてほしい。かなりあがっているのだ。

「別の人生設計」が——保険後、1位として意識的に選ばれるようになった。
1位・2位の塊の比率で読むと「別の人生設計を選んだ人」
Feb’22(保険前):1位+2位 ÷ 全体回答者の比率
Jan’24(保険後):同じ比率で見ると上がっている
つまり——辞めた人の中で、「別の人生を選んだ」と明確に意識した人の割合が増えている。
冷静さが上がっている。言語化できるようになっている。
感情的ストレスで押し流されて辞めるのではなく、「私はこっちを選ぶ」と決めて降りた。
これが2024年(保険後)の実態なのである。
【上記データをみる時 当然考えられる視点】
保険治療が始まって、IVFをやる患者数は爆増した。
本来「体外=自費までは考えてはいない」層も入ってきました。
その夫婦には自分たちのスタンスがあるから「まずはお試しに・・保険治療も」というドライな視点でみていたのだと思います。
だから最初から思っていたように自由診療に上がる前に降りる選択をする。
保険ステージで降りる女性にも二通りのpatternがありますね。
熱狂が素に戻ってしまう人と。
Being(在り方)がそれぞれ違う。
そと目には同じDoing(行動)を
しているようにみえますが・・ それを踏まえて以下のデータをUPします。
▓ 参考のために、降りなかった人、継続していった人のデータは、 以下だ。
保険後でも継続した人のデータをみてみよう。

治療を中止した人(保険後 Jan’24)
高くネガティブ:10%
低くネガティブ:35%
ポジティブ計:55%
(低くポジティブ30%+高くポジティブ25%)
そして右の表——中止した人のJan’24で目立つもの:
安心:15%、平静:15%、絶望:15%
治療を継続中の人(保険後 Jan’24)
高くネガティブ:47%
低くネガティブ:21%
ネガティブ計:68%
そして**不安:36%**が最大。
気になるところをクローズUPしてみよう。

まとめると・・・保険治療がはじまってから
不思議なことに、降りた人の方が安心・平静を感じている。
一方、
続けている人は不安が増大している。保険前より高くなっている。
テロップは「治療継続者の不安が高まっている」と書いているが——
逆をかえせばこうとも読める。
「降りた人の方が、精神的に健全な状態にある」
FACTは、解釈によってどうにでも読める。
私はこの解析を「暴露」というより、「医療統計を見る力の問題」として書いてきた。
例えば・・
転院先を探している人がいるとしよう。
HPを開く。
妊娠率○%
しかし、分母は?
・採卵周期?(採卵したが凍結できなかった人は、カットして分母にいれない?)
・移植周期?
・胚移植した人だけ?(胚移植までいけなかった人はカットして分母に入れない)
・初回患者?
・継続患者?
どこを母集団にするかで数字は変わる。
つまり、数字が嘘なのではない。
しかし、
数字を見るための物差しを患者側が持っていない。
患者がクリニックを選ぶ時、
「その数字は何を意味するのか」を読むリテラシーが必要だと思う。
これは後述することにしよう。
では、ここまでの私の見解を述べようと思う。
第2章:IVF保険治療の数字から読み取れるもの。
Data分析をした私の見解
・ARTへのアクセスは拡大した
・費用負担は軽減された
・治療開始への心理的ハードルは下がった
これは事実だ。
しかし問題はここだ。
入口が広がったことと、出口戦略が整ったことは、全く別問題である。
まず保険治療による体外受精を受けられる人は、年齢的 まだ若い。
お試しで保険治療をやって、自費に行かずに降りた人でも
自分の「生活スキーム」その時は優先して・・普段の生活に戻ったとしても
あとで数年立って・・自由診療にカンバックしてくる人は絶対にいる。
その時は、キャリアも安定して軌道に乗ってきているだろうから・・
次のモノが欲しくなるかも知れない。
その時は、もう年齢が上がっている。ますます出口戦略が必要になる。
保険治療をしていた頃と同じ気持ちでは絶対にできない。
現実問題として、かけていくお金が全然違う、残された(妊孕性の)時間も違ってくる。
私はこの体外受精(自費診療)を成功させるには
限られた資源(お金と時間)をどうやって周期に割り振っていくか?という「ポートフォリオ」
つまり資源分配が絶対に必要な概念だと思っている。
それは、反復不成功でも頑張って続けている患者さんと同じフィールドに立つことを意味する。
これは保険治療の時のような・・「医療スキーム」の流されてそれが嫌になり降りた時とは
ARTの森の景色が全く違っている。 明らかに森の中の景色が暗い夕暮れを迎えているだろう。
また・・Dataを見る限り
保険治療を続けて、自由診療に移った人も
続けている人は不安が増大している。保険前より高くなっている。
彼女たちの心の中で、何かが変わった。何が変わったのだろう?
それを次ぎの章で深堀りをして行こう。
ARTの深い森の中で・・遠くに聞こえる狼の遠吠えに恐れおののき、思い込みで地図を持たずに
感覚で、違う道に逃げていくこともなくなるヒントになればいいと、私は思っている。
第3章:同じ数字でも、Issue(イシュー)の立て方で森を見る景色は変わる。
「イシュー」と「問題(プロブレム)」とはまるで違う。
「問題」とは、現状とあるべき姿のギャップのことだが、
「イシュー」とは、その問題の根本原因を突き止め解決する為の「問うべき論点」だ。
だから、その立て方で見える景色はまるで変わる。
質問の形をしているイシューが一番大事だ。
それの質問によって構造もまるで変わってくるからだ。
構造とはMAPだと思ってもらえばいい。
良い質問は構造をつくり、それは怖いという感情を横に押しのけて前に進んでいくのかも知れない。
ARTの深い森に進んでいく時にMAPがなくて入っていけるだろうか?
恐怖や不安とか表面的な現象にとらわれずに、仮でもいいから皆、自分は・・という核心をついたイシューを
無意識に設定している。そうでないとそもそも、森には入ってなどいけない。
問題は、その森を抜けられるような設計になっているか?だ。
迷子になっても地図を更新しながら森を抜けて欲しい。
このData観察の問い(イシュー)を変化させていこうと思う。
これは0章のサマリーでも書いたように次の3ステップにわけられる。
▓ステップ1:
「なぜ若い人は早い段階でIVF保険治療を辞めるのか?」から最初は始まった。
↓
▓ステップ2:
「なぜ保険で経済的障壁が下がったにもかかわらず、患者は治療継続ではなく
別の人生設計を選択するのか?」
↓
▓ステップ3:
「なぜ患者は「辞めた」のではなく、「戦略変更のタイミング」を見つけられなかったのか?」
なぜ若い人は体外受精を早期に辞めるのか?というイシューを最初におくと、このData記事は
「離脱原因」を探す問いになる。
確かにART保険治療の導入前後の比較だと中にいる人にとっては興味深いイシューかもしれないが、
「なぜ経済的障壁が下がったにもかかわらず、患者は治療継続ではなく別の人生設計を選択するのか?」
というイシューからDataを見るとどうだろうか?それを今まで話してきたつもりだ。
でも、納得した治療を自由診療で実現したいと思っている「反復不成功」継続中の患者さんにとっては
ステップ3のイシューが一番、血肉になると思う。
「なぜ患者は、「辞めた」のではなく、「戦略変更のタイミング」をみつけらなかったのか?」
これは保険治療をやっていない自由診療の患者たちへの「意思決定」を探る問いになる。
治療をやめるOr 継続するという2択では片付けられないだろう。
戦略には有限のリソースがいる(資金と残された時間)の周期における振り分けだ。
体外のmiddle(自由診療)にいる人たちは、「体外をやっていると金銭感覚がなくなってしまって・・」と
ある意味、自分の意思決定(=Decision)を正当化して言う人が多い。
でも、それはリソースがまだ残っているから言えるセリフだろう。
カチンときた人がいたら、申し訳ない。
お金がある人だけが、「今日は、私 お金がないの・・」と言える特権だと思う。
本当になかった人ならば、口がさけてもそんなことは言えない。
「やっぱりね」と思われるから、絶対にそんなことを口にしない。
だから、まだリソースが残っているうちに「戦略変更のタイミング」を見つけることを意識して欲しい。
リソースが切れるまで、放置していたら・・未来のあなたは今のあなたに平手打ちをするかも知れない。
愛のある平手打ちだから、思い切り手首のスナップが効いているだろう。
つまり、言いたいことは、この記事のIVF保険治療のData記事じゃないってことだ。
普段の診察室にいる自分を思い浮かべて欲しい。
内診毎に・・エコーでみる数字、診察室でDr.のテーブルの上に置かれたホルモン値とう数字も
全部 同じだと思う。ただの数字と思って欲しくはない。
診察から診察へ流れていく・・数字。
その数字に鈍感になってはいけないと思う。採血でいくらかかっている?
賢い主婦になって欲しい。旅行でホテルや料理選びでアンテナが抜群に立っているいつもの
普段の「賢い主婦のあなた」に戻って欲しい。
コスパとタイパを重視して、限られたリソース(旅費と日程)の中で・・
仮説を立てて検証しまくりプランを立てている。
ARTの領域は、不慣れなの!アウェイなの!という言葉は、問いの変更によって
世界のミカタがガラリと変わる。普段使いのAIの答えからまず、最初に変わってくると思う。
あなたは、まだその情報の存在に気がついていないだけだよ。
良い問い=つまり良いイシューが、 その重い扉をギーっと開けてくる。チカラはいらない。
だから・・この記事でアップして私が言いたかったことは、
「数字(Data)は問いに答えるのではなく、問いによって意味が変わる」ということだ。
第4章:では患者は何をすればいいのか?!
未来が見えない時・・相談した人から希望を持てと言われたことはないだろうか?
その時は、ホットするかも知れないが、すぐに現実が噛みつく。
「何をしても先が読めない」
「努力が実るかわからない」
そんな状態の時に、体外のド真ん中にいるあなたに対して多くの人は「希望を持て」と言われる。
相手に悪気は全くない。
しかし、その言葉は何も説明していない。
「希望をどうやって持つのか?」
「それが持てない時は、どうするのか?」
そこには何も答えがない。
私は思います。ずっとそうした患者さんをみてきたから
まず、会員さま達にいうことはある。
「希望とは感情ではない。」
「気持ちを奮い立たせるものでない、明るく考えれば維持できるものではない」
「患者が前に進めるのは、未来が明るいと信じた時ではない。
今 この瞬間に”問い(=イシュー)”を持てている時だけだ。
問いがある限り、『次ぎの一手』が存在すると信じている。
次の一手がある限り、患者は動ける。
次ぎの一手とは・・紛れなく「戦略(=Strategy)」のことだ。
つまり、感情としての希望は、状況に左右されて消える。夜露のように朝消える。
しかし、問いとしての希望は、状況が変わっても消えない。
以下の章では、希望がどういう仕組みで患者を支えていくのかを解きほぐしていきたい。
感情を高める為ではなく、あなたが自分の状況を正確に理解するためにだ。
希望を「構造として理解しはじめた」時に、患者のあなた は立ち上がれる。
構造を知るには、自分の内面だけFocusしても全く意味がない。
そんなの精神論やスローガンで終わる。
自分が置かれている状況を冷静にみないと地図上の現在地がわからない。
あなたは、CLINICサイドの「医療スキーム」とあなた自身の人生プラニングの「生活スキーム」の間にいる。
面白いことに、体外で失敗しまくってメンタルがやられてもう何もしたくなくても
「問い」さえあれば・・あなたは動ける。
それはなぜか?そこに感情はないからだ。
「もうこれだけやった。これだけお金をかけた。また失敗するに違いない」とは思わなくなる。
※ スキーム=構造のこと、仕組みのこと。

「君」とは・・あなたが赤ちゃんを手にする
未来の自分だ。
感情として希望ではなく
問いとしての希望を持った時・・
あなたは、どん底からでも
立ち上がれる。
なぜなら、希望を構造として理解し始めたから。
以下 「医療スキーム」と「生活スキーム」の違いをみていきたい。
医療サイドは、基本「医療スキーム」でCLINICを回している。一方
患者サイドは、基本「生活スキーム」という条件の中で、CLINICに通い治療を受けている。
SDM(=共同意思決定)を意識している主治医ならば、できるだけ患者の「生活スキーム」を考慮しつつ
「医療スキーム」を回して患者をART治療に乗せてゆく。
患者の気持ちを理解できる医師は特にそうする。自然とそうする。
つまり患者サイドは、「医療スキーム」のCLINICの流れの中で、自分の「生活スキーム」のバランスをとってゆく。
具体的に言えば、患者は仕事の折り合いをつけながら・・中途で職場を抜け出してCLINICに通う時間をつくっていることだ。
でも、結果がでないまま・・反復不成功が続いた時にだ。
双方がこのスキームがズレた時にギクシャクしてくる。
Q:医療スキームとは何か?
「診察室での時間は短い。先生との内診は最低限のことだけ。待合室には次の患者が待っている。」
スタッフも、優しい言葉をかけるが流れ、導線重視。
医師は今周期のプロトコルだけを見ている。
患者のお休み周期も、投資資金も、医師の視野の外にある。
患者さんサイドも、医療スキームは当然共有している。
いきなり入る次の内診日に合わせたスケジュール調整は
仕事と治療を両立している人は本当に大変だ。
最終予約が何時まで?とか全部 病院優先のライフスタイルは、このスキーム内だ。
それ以外にも
CLINICは学校ではないので、更に他の医療とはまるで違うから
この薬を飲んだら必ずこうなると不確実性の医療であることは、暗黙の了解がある。
治療のオプションプランも同様で個体差が大きい。
0と100の2つの数字しかないのが体外受精の厳しさ。
だから体外のイロハはネットで勉強しているよね?が前提になる。
そして患者サイドとしては 全力で通っている分、メンタルの処理は自己責任となる。
これは院内カウンセラーに相談しても問題解決にならないケースも少なくない。
心療内科を併用している人など本人は言わないけどたくさんいる。
なによりも一番キツイのは・・
自分たち走っているランナーたちからみれば、自分の中で降りることは敗北として処理される。
「敗北」「脱落」という言葉は、相手に対しての言葉でなくて
自分への言葉だ。『もう引けない』という感情だ。
お金も時間も交友関係も必要コスト(=サンクコスト)として分厚く横たわる。
ネットでは同じクリニックに通っている人のblogをみているだろうが
自分の数値や周期の自分の排卵のクセに落とし込んで、先生への質問を組み立ている人はそれほど多くはない。
そして治療を継続中の方は、
治療を辞めた人には同情はすれど、今は走るしかないと自分を鼓舞する。
お金のやり繰り、仕事との時間調整——全部抱えながら。
これが実際の・・待合室の空気感だ。
クリニックによっては、シーンとしたその空間に
診察室から流れてくる声は、患者の泣き声しか聞こえてこない処もある。
先生によっては大きな笑い声と笑顔で和ませる先生もいるが例外だ。
Q:一方、生活スキームとは何か?
「生活スキーム」というは患者さんサイドの構造です。
一言でいうと・・治療を優先するために何をとって、何を捨てるか?という選別だと思う。
患者が持つリソースのポートフォリオの話だ。
医療スキームに乗り続けると、ポートフォリオを選別する余裕がなくなる。
もっとリアルに言えば、自分に良い問い(=イシュー)を立てることなく、前周期を消化試合にしてゆく。
とりあえず、病院に通っているというCycleに陥る。
つまり、余裕がなくなると、自分が構造的に考え意思決定をしようという気持ちがなくなる。
保険治療でIVFを回している人ならば、助成金や保険適用の範囲内で、目先ばかりみてしまう。
目先に振る舞わされていく。
高すぎた期待と失望の落差のギャップに
メンタルが維持できなくなり、淡々と治療をつづければいいのに解っていても、心が追いつかなくなる。
だから鬱(うつ)傾向になっても、
それに気が付かずに、クリニックの医療スキームのラインに乗りつづける悩みが更に大きくなる。
クリニックに通い続けるには、仕事との両立がいる。これは本当に心理的に辛い。
これはそれを回している人でないと絶対に理解できないと思う。
さらに若い人ならば・・周囲が自然に、かつ次々と妊娠していく時期であるため、
なぜ自分がこんなにも時間もお金もやりくりをして、報われないのか?と
強い疎外感や不条理を感じやすい。
増えていくのは神社のお守りの数だけって人もいるだろう。
一方、
気がついたら6周期連続とかは特別なことではない。
クリニックは、患者の「生活スキーム」の管理は基本、仕事外。
ちいさな亀裂は、時間とともに大きくなっていく。主治医を責めるわけにも
いかず全てを自分が抱くことになる。
その振り子の中で 悶々と悩む。
体外受精を始めたばかりの人が崩壊するのは、「膨大なコスト(金銭・メンタル・時間)」を投入しているにもかかわらず、その見返り(妊娠)が保証されない不確実なスキームに放り出されるからだと思う。
第5章:なぜ?医療スキームと生活スキームはズレていくのか?
保険治療の方ならば・・クリニックのナースは、善意と意欲づけでこういう。
「まだ若いから頑張って。続ければなんとかなるよ。」とか言う。
これは、若いからこその巨大な悩みを理解してない。自分だけ・・という疎外感はキツイ。
そもそも、将来設計の途中だから無尽蔵にお金をCLINICに投資できるハズはない。
一方、年齢が高い反復不成功の患者さんは、何も最近 この体外に入ってきたわけでない。
結果がでなくて、でもやめるとすべてが無に帰してしまうから続けてきたから、この年齢になった。
前は、保険治療の方と同じように年令は若かった。
転院を繰り返して、今 このCLINICにいるから、最新の治療をうけてきたから、
「今度は・・この治療があります。やってみますか?!」という提案には素直に喜べない。
医療スキーム(ベルトコンベア状態)と患者サイドの生活スキームのズレは
なぜ?起こるのか? これは文字通り・・構造(=ズレている)の問題だ。
▓ IVF保険治療の方のスキームのズレは?
保険治療の方ならば、スマホをみる・・アメブロとか色々書いてある。
色々な記事をみて、不安を覚えるケースもあれば、勇気づけらえるケースも当然あるだろう。
でも待ってほしい。それらは他の人の人生だ。治療内容も個別化されているので自分の治療にそのまま当てはまらない。
そして、トリガーがくる。
保険での回数のカウントダウンが始まり
自費への移行が近づいてくるとさらにブーストUPしていく。
自費診療にそこまで希望を持てなくなるのは、ネットで失敗したの話を
聞きすぎるからかも知れない。
すると、
心の中で・・このまま揺らいだまま続けたら、生活が破綻するかもしれないと察知するセーフティーネットが発動する。
——時間・体力・お金・キャリア・関係性——
現実は・・今回 私がUPしたフェリング・ファーマのデータに出ている。残酷にも出ている。
保険適用で体外ができるようになって・・
お金の問題が解決したのに、なぜ降りたのか。その答えが、ここにある。
▓ IVF自由診療の方のスキームのズレは?
一方、
自由診療を結果がでないまま続けてきて、年齢を重ねてきた方はもっと辛い。
体外の治療の経験があるからこそ、自分の中で成功patternと、失敗patternをそれなりに持っている。
経験が豊かは、時に認知バイアス(思い込み)を強化してしまうケースもある。
もっというと、自分の意見に固執してします人も少なくない。
コレならば、こうなるハズと仮説を立てるのはいいのが、その仮説が外れた時にメンタル回復のリカバリーが
治療を始めた頃のように復活しないしない。 引きずってします。
認知バイアスが固まってくると・・自分を冷静にみるという「メタ認知」の本当に弱くなってしまう。
だから、次 生理がきてCD2-3に来て主治医に言われても・・またダメだったらどうしよう?と自然と思う。
思考の負のループは、新しい良い問い(=イシュー)を生み出す邪魔をする。
だから、こういう反復不成功のドロ沼にハマっている頭のいい患者さんこそ、
「認知している自分を認知する」というメタ認知を持って、感情を捨てて、地図を探すことをして欲しいと思っている。
実際は、自分が思っているよりも出口は近いのに・・違った道に行って欲しくないからだ。

このドローンがメタ認知そのものだ。
ドローンは、コストが安いが、パフォーマンスは無限大。
昼間でも暗いARTの森を歩くあなたが、あなた自身が上空から観ている。
スマートフォンから、上空からの映像を見える時代だ。
ドローンは未来を見せる機械ではない。現在を観察する機械にすぎない。
そして、どちらに向かうか? あなた自身が決める。
そのドローンの視点は、あなたの現在地を照らす。
出口は歩いてみないとわからない。
第6章:ARTの道は・・・最初と最後には『自分なりの美学』がいると思う。
私はもう20年以上この世界にいてたくさんの生の声を聞いてきた。
体外をやるひとは、治療をやりたくて続けている訳などでなく
「・・・ただ 子供がほしいだけなのに・・・。」が本音だ。
「こんな私でもママになれるかな?」と悲しい笑顔を私にみせる人※
もいた。
※その人で再婚した旦那さまとの間で45歳で授かった。
「ここまでやったのだから、もう降りれない」と自分を正当化するのも
よくわかる。いつの間にか手段が目的になってしまっている自分を冷静に
みている人もいた。
最後は治療を諦めらめざる人達も、たくさん診てきた。
だからこそ、『ただ 子供がほしいだけなのに』という言葉が重く感じる。
クリニックに通い始めて保険治療から始まり、回数のカウントダウンが
スタートして自由診療のステージにあがりそこからまっしぐら
妊娠して卒業の出口をみる人もいれば、気がついたら年齢があがり
ART知識だけは増えて、増えた知識が逆に選択肢の多さから悩みをまし
卵がとれなくなって出口から降りざるを得ない人もたくさんみてきた。
最初の頃(夢中になって治療している頃)
最後の頃(辞め時を感じる頃)と・・・
最初の一歩と、降りる瞬間
——そこに人生の地形が現れる——
自分の人生の目的をしっかりと
もって生活スキーム(=構造)で自分を俯瞰しないといけないと思う。
そうじゃないと人生の地形が破綻してしまう。
「あたしって、何のためにこれをやってんだろう?失うものはなに?」ってみな心が揺れる。
最初の一歩と、降りる瞬間
——そこに人生に向き合う美学がいる——
他の人の人生をなぞるのは、自分の人生ではないという美学だ。
子供を持ったらそれで完成体になるわけでないかも知れない。
でも その時代にそう思えたのは素晴らしいこと。
そして、仮に授からなかったとしても・・手ぶらではこのARTの森から出ないと思う。
辞めた会員様たちとも私は今でもつながっているから、本当にそう思っている。
最後に・・・
ずっと最後まで、読んでくださりありがとうございました。
だらだらと、思いのままに書き殴ってしまいました。
医師は医学的可能性を見る。〈医療スキーム〉
患者は人生全体を見る。〈生活スキーム〉
2つ柱の間にいるあなたは、
AI時代、最新ART時代・・・それは2026年現在の「最新」に過ぎません。
10年後はまるきり景色が変わっているでしょう。
だから、情報に振り回されない欲しい。
情報が増えるほどに、決断ができなくなるから。
体外受精をする患者さんに必要なのは、もっと多くの情報ではありません。
自分の人生の中で、その情報をどう意思決定につなげるかという「設計図」です。
そして、その設計図は、誰かが与えてくれるものではありません。
問題に直面したとき、自分は何を問うべきなのか?
最初に立てる「Issue(問い)」が、その後の見える景色を決めます。
(終わり)
