0章:はじめに・・
このブログについて
Mineva公式ブログには、5分で読める記事もあれば、実際のカンファレンスを再構成した長編もあります。
長編は「読む」というより、「カンファレンスに参加する」感覚でお楽しみください。
蓋をあけたら、もう祈るしかない?
明後日の採卵に向けて、トリガーは引いた。あとは採卵の朝を待つだけ。
その2日間、あなたは何をしていただろうか?
「あとは祈るしかない」——そう思った人は少なくないはずだ。
数値も、注射も、通院も、全部終わった。あとは結果を待つだけ。祈るしかない、と。
でも、本当にそうだろうか?
「違う!」
祈るしかない、というのは、実は「構造」を知らないだけかもしれない。
この2日間にも、まだ見えている景色がある。それを見ている他の主治医たちもいる。
それを、今日は一緒に見ていきたい。
前回記事のおさらい(CD5-12/T5-12、蓋はまだ閉まっている)
前回のblog記事「空胞は、蓋を開ける前に、もう決まっていた。副題:羽付き餃子と排卵誘発(=COH)は似ている。」
の続きを書かせてください。
前回は採卵(OPU)に向かう道行プロセスを書いた。仮に排卵がCD14だとしたら CD5-12まで。CD12はトリガー日だ。
それに似ているものとして・・
羽付き餃子の道行プロセスも、T5-12まで。T12は蓋をあけて、
「追い油」をいれてフライパンで返すというトリガータイムだ。
2つの共通点は、蓋はまだ閉まっているという点。

今から・・蓋をあける
どこのタイミングで蓋をあけるか?そしてトリガーをかけるか?というのは一番緊張するところだろう。
餃子だったら餡が生か?もしくは黒焦げになりフライパンから餃子が剥がれなくなるのは、
皆さんも経験したことがあるだろう。

レシピ通りに時間をみてやったのに―
採卵の人だったら・・空胞だ。
そして両者ともトリガーの時の小手先では、料理は上手くいかないのも、経験済みだろうと思う。
今回の舞台——CD12-14(トリガー)、T12-14(待ち)
採卵周期の COH(=卵胞調整)
採卵日に向けて「蓋」をあける
羽根付き餃子の調理
フライパンの蓋をあけてから追い油をいれる
今回のblogのテーマは、採卵だったらトリガーを引いて採卵の朝まで(=CD12-14)
羽付き餃子だったら・・蓋をあけて皿の上に”美味しい餃子”を乗せるまで(T12-14)
両方の料理人(主治医と餃子職人)が、それまで理系の頭で目に見えるものだけでなく、目で見ないもの(例えば音etc)を観察してきたのを辞めて、
今度は体育会系になり・・思い切って蓋をあけてトリガータイムに入るClimaxの話をしたい。
具体的には排卵の動きも絵で説明するので、そこはちょっと難しい話になるかも知れないけどわかりやすく
ジェットコースター「ドドンパ」2基掛けなどの例えを使って・・
たぶんあまり聞いたことがないホルモンとホルモン受容体の話を分かりやすく・・しようと思う。
体外受精の構造を知るヒントになってもらうと嬉しい。
今日のカンファレンスで、一つだけ持ち帰ってほしいことがあります。
LHとFSHは、同じスピードで仕事をしているわけではありません。
― Today’s Conference―
そして、あなたは・・
この記事(中身はカンファレンス)を読み終えた頃には、
空胞の構造を知ることで・・体外での空胞の回避になる「打ち手」へと「期待」に変わっていることだろう。
空胞(広義)には卵子未成熟や変性卵や卵胞壁から剥がれないという全てが含まれている。
さあ、はじめよう!
1章:女将:「さあ・・ひっくり返すよぉ」
女将:「ひっくり返す時に、人柄が出るんだよ」
私が話を聞いてきた餃子屋女将さんは、こう言った。
「羽根付き餃子は、ひっくり返す時に、「人柄」が出るんだよ。」と
「・・・え? 人柄?餃子に・・?」とポカンとして言ったら
女将は言いました。
「早く返したい人。怖くて返せない人。何度も皿の位置を直す人。
一度決めたら迷わずにパーンとひっくり返す人。
最後の一手には、その人の人柄が出るんだよ。」

女将の焼いた羽付き餃子
下町の町中華の店主(餃子で超有名)
「これが、女将が人柄をかけてひっくり返した結果です」
これをみるとどんなに餃子専門の高級店なのかな?と思われるかもしれませんが、そうじゃないんです。
店の中は一見みると普通の下町の中華屋さんです。
料理(羽付きの豪華さ)と店の見た目のギャップにまず、はじめてのお客は驚くと思います。
でも一番感動するのは、餃子を箸で割った時。「小籠包のように肉汁」が溢れてくる。
なんでも、蓋をあけた時、追い油(多分ごま油かな?)を入れるタイミングは、水分は9割消えた刹那。
そのタイミングを逃さずに「追い油」・・早すぎるとねちゃとして羽根は広がらず、遅すぎると焦げる。
前の記事でも書いたけど、最初の段階で餃子をフライパンにいれる時の「羽根水」の配合の時点で3パターンのできあがりの食感をイメージしているのが、すごい職人技だと思った。
そこまで淡々と焼いて、蒸して、待って。蓋をあけてヒックリ返す。
最後に鍋をスライドしてこの羽根の黄金の色を均一にしてる。
フィニッシュの追い油の香り(ゴマ?)が残っている・・そんな餃子です。
蓋を開ける瞬間——女将の脳は、理系から体育会系へ
これって、観察をしてやってきた理系(Scientist)の脳から、体育会系の「決断」をするってことだと思った。
そもそも、完璧なものはないし、完璧にこだわっていたら決断だなんて出来やしない。
蓋をあける瞬間が一番むずかしいのだと思うんだ。
餃子だったら・・蓋をしめていた「蒸しモノ」が水分が飛んできて「焼きモノ」なり、そこで蓋をあけると
冷たい空気がフライパンの中に侵入してくる・・そこでさっと「追い油」をいれて待つ。
この「待つ」というのがやはり体育系なのだと思う。
知識があるプロだと・・経験の多さが逆に足枷になってしまい・・「待てない」「正解をすぐに求めてしまう」それはあるあるだ。
これは正しいと思い込んでしまう自分を疑えなくなってしまうのだ。
餃子をつくる工程は、全部を体育会系でやれば・・餃子は最悪になる。
逆に全部を理系でやっても、餃子は美味く出来ない。
観察する時間には、徹底的に理系でいること・・。決断する時には、腹を決めること。
その両方がタイムラインの中でいるのだろう。
体育会系は、腹を決める時には、2つのスキルがいるのだろう。
① 蓋を開けきること
② 待つということ
「待てる」とは・・先の見えない悶々としたカオスの中で、そこに耐えてとどまっている「ネガティブ・ケイパビリティ」
H3: なぜ、彼らは待てるのか?
私は未来(遠い未来じゃない、すぐそこの未来)を信じられるチカラを持ち得たのだろうと思う。
ショックや逆境(悪い結果)に潰されることなく、なぜか?わからないけど気持ちは動揺しても、カラダだけは
信じる方向を向いていたのだろうと思う。
もっと、突っ込んで言わせてもらうならば、自分が抱えている問題の「構造」を理解していたのだと思う。
だから、勇気を持ってフライパンの蓋をあけられるし、トリガーを引けるのだろう。
あの女将だって、口にはださないけどかなり失敗作を作って来たからこそ、
この綺麗な羽付き餃子を毎回 同じ形に持っていける。餡の食感まで同じってすごい。
私は何度も来ているからわかる。
ひたらすら耳で「音」を聞きづけて観察してきた歴史があるのだと思う。
女将のいう「最後の一手には、その人の人柄が出るんだよ」という言葉の中の”人柄”って、
難しい意味でなくて、「キャラ立ち」のことなのだと思う。キャラって自然に立ってしまうから。
だから、その人が何を恐れ、何を守りたいのか?何を優先するかが・・最後の最後の一手に現れてしまうだろう。
2章:体外受精のCOH(調整刺激)でトリガー前後からLHピーク迄の話
「排卵のクセ」を知るということ
採卵で成功する秘訣は、自分の排卵までのクセを知ることだと思う。それが構造を知ることだと思っている。
でも実際、患者さんの「排卵のクセ」の解像度は、思い切り低い。強い・真ん中・弱いくらいしかない。
そう理解をすることは悪いことじゃない、直感だから正しい。
ただ、それだと、周期がうまくいかなかった時に「あの時、ああしておけばよかった」と反証ができないんだよ。
しかし、普通に排卵のクセというと「え?自然周期で完全にホルモンfreeって話?」と思う人が多いと思う。
周期によって、クセの出方は正直違うし・・。
年齢が高くなると、連続した周期のばらつきが若い時に比べて出てくるので、「波」=ホルモンカーブの波を良く読む必要があると思う。
排卵のクセというと、何も自然周期のホルモンフリー(薬剤をトリガー以外は殆ど入れない)というだけでは波は見えない。
あの内服をこのタイミングでいれたらどうなる?とか
どの注射を、どの量でいれると・・波が動くとかを含めて「排卵(までの)クセ」と理解するとわかりやすいかも知れない。
そうした「小さな観察」が・・周期の後ろになってくると、大きな影響力をもってくるものだ。
少しここで排卵(自然周期の絵)を置こう。 4層になっている。
連続した周期(=低温期+排卵期+高温期)のカーブだ。
この絵の中で 診察でどこで採卵日を決めて、トリガーを夜の何時に打ってねと言われる場所をイメージして欲しい。
あるいは、排卵前のこのタイミングで「採卵をする」場所をイメージして欲しい。

基礎体温/卵胞の成長/子宮内膜/ホルモン値のカーブを示す。
FSH/LH そしてE2/P4
自分は今、何処にいるかをイメージさせる絵。
3つの波——E2・LH・FSHの時系列
下図では排卵はCD15として作った。縦に赤い線が排卵である。

E2カーブのピーク(=ピンク色)は、低温期の後半においた・・一番最初にくる第一の波だ。
FSHカーブのピーク(=グリーン色)は、水色の玉(=LHピーク)の後ろに置いた第三の波だ。
そして・・
LHカーブのピーク(=ブルー色)は、E2ピーク(=ピンク色)の後ろにおいた第二の波だ。
この3つピークは時系列だ。
この順番で波は来る。基本的には・・
・第一の波 =E2のピーク (ピンクの玉)
・第二の波 =LHのピーク (ブルーの玉)
・第三の波 =FSHのピーク(グリーンの玉)
※そうならない人もいるから厄介だ。
例えば、まだE2が低くてもLHカーブが早めに吹け上がってしまうとか、
E2がピークを迎えたのに・・LHのピークがこなくて し~ん(・・)としているとか?
どんな曲線になるか?イメージしてみるといい。型があれば、型から外れる人も当然いる。
つまり、それぞれのホルモンカーブは、そこまで達するまでにクセを持っていることが多い。
これは2点を結ぶ数値Dataでわかるが、これは目に見えるものに過ぎない。
でも大切なのは、目に見えないもの(=ホルモン受容体)だ。
例えば、E2が十分に高いのに、卵胞の大きさとバランスが取れていないとか当然あるからだ。
羽根つき餃子の「フライパンの蓋下」の景色は・・この存在と似ている・・・
見えないものを感じて、これを意識して観察しないといけないと思う。
自宅のキッチンのフライパンの中でも、それは起こっている。
それぞれのカーブの中で・・点は連続して繋がっているが、
点がそこに置かれるには、その裏には受容体(=レセプター)の存在があることを忘れないで欲しい。
だから、自分の「排卵(までの)クセ」ってなんだろう?とノートに絵で書いてみるといいですね。
フェーズが切り替わる瞬間——A点(LH)とB点(P4)

フェーズが切り替わる瞬間が、この絵の中に2つある。
餃子で言ったら、音が明らかに変わる瞬間が来る。焼き物が、蒸し物に変容するように・・。
一つ目(=A点): CD2から低かったLHカーブがCD8の時に上向きに上昇していくA点
これはLHがあがりはじめて卵胞の中の卵子が成熟しはじめる限界点
▶ 目に見えないLHーR(LH受容体)のアンテナがボンボンと立ち上がっている証拠。
だからあなたの主治医も、注射で(LH成分が入っていない)FSH注射から、
(LH成分が含まれた)HMG注射変えてくるのは, 卵子の成熟に必要な成分を与えたいと思っている。
この絵のように「自然の摂理」に似せたいからだ。
2つ目(=B点): P4カーブが一番薄い点線で書いてある。
高温期の「花形」であるP4がまだE2のピーク(ピンク色)の手前から
立ち上がっていくのが、分かるだろうか?卵子が成熟していくマーカーの一つだ。
※『早期黄体化』は、この立ち上がりPOINTがもっとずっと手前になってしまう。
移植周期ならば Pが変にあがってしまったら移植は中止になる。
採卵については、別記事で書く予定だ。本題からズレてしまうから。
つまり何が言いたいのか?というと
ホルモンカーブは、教科書の乗っているような動きはしないってことだ。
いくら体外のホルモンを勉強しても、自分のホルモンカーブ(=排卵までのクセ)を知っていないと
クソの役にも立たない。
AIに相談しても、こうした標準化した情報からひっぱってきて、それっぽく答えているに過ぎない。
なぜ、自分の排卵のクセ(=排卵までのクセ)を知っていると採卵にいいのか?
それは「型」を知ることだからだ。
なぜ「型」を知るのが大事かというと「型から外れた」時の自分を客観視できるから。
ズレてきた時が、「あれ?おかしいな 今回は上手く行ったときの薬を同じ薬を同じタイミングでいれているのに・・
主治医に聞いてみよう」となる。
ここで患者さんの「Dr.コミュニケーション」がモノをいうことになる。
茶道とか華道もそうだけど「型」を知るためにお稽古にいっている。完成というのがないのだ。
完成がないからこそ、出す時に「これでいい!私の作品はこれ」と決断できるのではないでしょうか?
うちの妹とも、そんな話をよくする。
会員様でもそれのお稽古をしている人はこう言う・・・「お稽古に終わりはないから」と。
最後はやっぱり体育会系なんだね?というと笑う人が多い。
体外受精の治療でもそうだ。完成がない・・
でも失敗の「型」を知っていれば失敗じゃないレンジはどんどん狭まってくる。
すると、「え?あのグレードの悪い卵がまさか・・」というのは本当に良くある。
体外のサイトに出てくるモデルような綺麗な胚と、自分が上手くいった胚の写真を比べてみるといい。
「え?こんな見た目で、戻すときは不安しかなかったのに・・」となる。
だから、あなたも「型」を知っているといいと思う。
ここまでは、羽付き餃子でいったら「蓋をあける前」の蓋の下の話をしてきた。
料理でいったら、まだ フライパン返しでひっくりかえした「あなただけの羽付き餃子」を皿の上に乗せていない。
3章:体外受精のCOH(調整刺激)でトリガーを引いてLHピーク後の話 〈本題〉
”あなたの主治医”は、何を逆算しているのか?
あなたは、自分の主治医の考えていることを想像してことがあるだろうか?
このIssue(最初の質問)が、あなたの問題解決のヒントなることが本当に・・多い。
トリガーの種類や組み合わせを考えないと、トリガー後にどんなホルモンカーブ描くのか?想像できないと
卵子の成熟の設計図が描けない。
”あなたの主治医”を言葉にはしないけどそんなことを考えている。
トリガー時間をいつもよりも少し早めようかな?今日はこの時点でこのホルモン値だしと
それぞれの数値みて、前回からのホルモンカーブをトレースしている。
「点」を残すヲタクの医者たち
トリガーを決めた内診の時・・
少し慎重な先生は、”ぼそっ”と こう言う。
トリガーを引いたから明日の朝、『LH排卵検査薬』をいれて、そして・・採卵の朝にそれを教えて
主治医は、トリガーが効いたのか?をみたいのはもちろんだが、
採卵の前日の早朝に、LHの状態を知りたいわけだ。
それは、排卵確認の意味もあるが・・それ以上に、「卵子の成熟の一つのマーカー」になる。
具体的にはFSHのマーカーというのはないから、LHがこうならFSHはこのくらいだろう?と予想がつくからだ。
また、一般的ではないが採卵日の朝に採血を取る先生もいる。理由は言わない。
採卵日の朝のことなんだけど、少し早く来れる?採血をしてから・・採卵するから
それの数値は患者にもみせない。
自分のDataとして、トリガーの景色と採卵の結果をつなげる「点」として残しておく。
中には、採卵の前日のホルモン採血をするヲタクの先生もいる。当然、理由は言わない。
採卵の前日のこの時間帯に・・来れる??
この3人の先生たちは・・異形かも知れないけど、何を考えているのか?わかりますか?
「そんな先生には、会ったことはないよ・・一度も。」と大抵の患者さんは言うだろう。
自分のトリガーの答え合わせをしようとしている異形の先生たちが、この狭いARTの世界には少数だけど確実にいる。
私もそう先生たちの採血をたくさん見てきた。
この患者さんは、トリガーを引いてからこういう動きをするだと興味深く、解析をしてきた。
ARTの医者は、『ヲタク』でないと務まらない
つまり何がいいたいのか?いうと・・
ARTの医者は、ヲタクでないと務まらないってことだと思う。
トリガーを引いて、採卵まではオートマチック走行ではなくて、
それをオートマチックになるように「型」があるわけだ。
だから「型がはずれた」状態をルーティーンでやる訳にはいかないというプロ根性がヲタク医師の中にはある。
〈注意〉
ちなみにこの記事を読んで「先生、あたしも採血とってもらおう」とか思わないように。^_^
そんなの意味がないという先生の方が断然多いからだ。
仮にDataをとってくれたとしよう。しかし医師サイドのほうで比較するData(標準Data)を持っていなかったら・・
「はい❤ 約束の数値これです」と言われてコメントなしになるのが関の山だ。
じゃあ、AIに聞いてみようと思って打ち込んでも・・AIがなんて答えるか容易に想像がつくだろう。
AIは ネット上にある過去の情報を標準化して『それっぽく、あなたに寄り添う』のが落ちだろう。
あなたは、そういう説明は求めていない。自分の今を解説して欲しいと思うはず。違っていたらごめんなさい(._.)
でも・・核心的な最新の治療は、大学病院から生まれないと私は思っている。
いつだって野武士のような民間のヲタクの先生の研究から生まれると信じている。
4章: ドドンパのニ基がけ(LH号とFSH号)で観るホルモン受容体
ドドンパ二基がけという問い

いきなり 富士急ハイランドのドドンパの絵をみせられて「ん?」と思っただろう。
これは私がカンファの時に説明する絵だ。
- ドドンパ1基目:
LHカーブというレールを走るジェットコースター・・・ ピークの高さが高い - ドドンパ2基目:
FSHカーブというレールを走るジェットコースター ・・・ピークの高さが低い
質問をする。
「1基目と2基目のどちらのジェットコースターが、スピードが早いと思うか?」?考えてみて欲しい。
・・・そりゃあ ピークの高いLHのドドンパ1基目だよ。と頭のいい人は思うだろう。
それが 疑いもない同じ「物理法則下」だと信じているからだろう。
2つとも、同じレールだと思ってはいないだろうか?
年季の入ったレールと車軸
年季の入った”ドドンパ”が、1基目の方(LH号)だと知ったらどう思うか?
同じ速度では落ちてこない。
車軸に抵抗があるとか、レールが歪んでいたら、抵抗を生んだりする。年季が入っているということだ。
すると高さの高いジェットコースター(LH号)の方が、遅くホームを通過する
カンのいい人ならばわかると思うが・・
高齢女性になると・・LHのジェットコースターが抵抗もありゆっくりと落ちてくるものだ。
つまり、FSHのジェットコースターは先に行っている。【LH>FSH】
一方
若い女性だと・・ ピークの高さ通りの物理法則で、シュっとホームを通過する。
つまり、LHのジェットコースターの方がゆっくり降りてくる。
後から、FSHのジェットコースターの方が入ってくる。【FSH>LH】
▶ FSH号が上にいるということは、それだけまだ・・卵子を成熟させる時間があるということ。
つまり、
卵子を成熟させるのは、若い女性のようにLHのジェットコースターが先にホームを通過して
そのあとにすこし!ゆっくりとFSHが降りてきた【FSH>LH】方がいう報告もある。
だから、同じ採卵日を目指していても、
ー Today’s Conference ー
FSH号とLH号では、卵胞の中で流れている時間は違う。
なぜ?そんなことが起こるのだろうか?
その速さの正体は、受容体だった
ではなにが、そこまで物理法則を無視した結果にさせるのだろうか?
さっきは抵抗があるか?ないか?だと私はいったが
この「富士急ドドンパ」の速度が出るのは、FSHとLHに対応する受容体の量と反応になる。
若い人は受容体がしっかりと卵胞まわりにスマホの受信アンテナのように立っている。
だから、FSH>LHの位置をキープ出来る。
FSHが卵子を押している時間が長いと言うとわかりやすいだろうか?
そして実際、採卵した卵子のまわりには、べっとりと透明でキラキラした『顆粒膜細胞』が
覆っており、それには目には見えないホルモン受容体のアンテナがたくさん立っている。
Dr.から空胞と断罪された・・
採卵で「空胞」と悲しい結果を主治医から聞かされた患者さんは、先生から
「今回の卵は、『顆粒膜細胞』がなかった・・残念です」と言われた人も少なくない。
空胞でしたという一言では、患者は理由がわかないから、普通の医師も説明する訳だ。
その他だと、
「卵胞壁から剥がれなかった」とか、
「一生懸命にウォシュをかけたんだけど・・・なかった」とか言われるだろう。
もしくは
「若い人でも空胞ってあるから」と言われる人もいるだろう。
顆粒膜細胞がない理由の一つは、そこに受容体のアンテナが少なかったからだ。
MⅡ卵が取れる卵はこのようにトリガーの後に決まるのではなくて、
もっとその前の段階から決まっている。
これも羽付き餃子のプロセスと同じだ。原因は最低2つあるだろう。全部でない。
①最初の餡作りがズレていた。
最初の餡づくりで・・家庭の主婦が手間が面倒で野菜の水分を十分に切らずに
餡をつくりだしてしまったりするのと同じ。
②最初の「羽根水の配合」がズレていた。油を入れなかったとか色々。
熱したフライパンに餃子を並べて、「羽根水」を入れる時の
構成がずれていたり・・プロ直伝の その「羽根水」に油を数滴おとして・・水と油が交わらずに適当に入れた?
しかし、
完成品の時の「あのレース状」の柄になったり、パリパリ♪とかサクサク♪とかになる設計図を最初に作っておくのがプロだ。
だから、空胞だったら・・たまたまだよ?ではなくて、
少し前に戻って自分で「なぜだろう?」と反証しないと、また次回以降の採卵で同じことが起こり得る。
その時に「あーもうだめだ、年齢だからだ」と思わないことだ。
それをしちゃうと自分ができない理由を正当化するモードになってしまう。
すると、どうなるか?
「打ち手」を考えなくなってしまうんだ。
だから、転院したら問題は解決するんじゃないか?と思ったり、
前のClinicの成績とは違うことを期待するのだが・・
また同じ結果になる人は・・空胞になる構造を知らないで動いているからだと思う。
最終章:構造を知らないと体外は前には進まない。でも知ることは、ゴールじゃない
ホルモンカーブが上がって下がることは、皆さんも知っていると思います。
その時に平面(2D)でみてしまうと、ピンとこない。
ホルモンの話はつまらないと思う人も多いと思います。
なんか紙に書かれた数字にしか見えないし・・。
正しい反応だ。自分事でないことは、全く意味がないし興味も起こらない。
どどんぱ2基がけの話をしてホルモンとホルモン受容体の関係性を今回話した。
あがって下がっ時の、その速度感を目で観ると違った感想を持ってもらえると思う。
少し興味を持ってもらえたら嬉しいです。
ホルモンの解析のヲタクの私は、今日はうちの会員様たちが知っている「共通言語」として
富士急はドドンパをアナロジーにホルモンの動きを普通に話している。
その「共通言語」をこのblogを読んでくださっている方と共有できたらと思いました。
羽付き餃子の女将の話も、トリガーから採卵迄の間の動きにこだわる一部のDr.の話も
みんな・・・目の前にあるそれが好きなヲタクなんでしょうね。
それぞれが、それぞれ厨房にいてヲタク作業をしている。
私も今回は、女将さんの餃子論を聞かせてもらって本当によかった。
話を聞いて、頭ではわかったつもりになるが・・実際は上手く焼くことはできないことを知っている。
でも 羽付きの餃子を作るまでの「構造」がわかったから数をこなしていくと、
なんかできるような気持ちになります。
体外受精の治療も「構造」がわかると確かに景色が変わるのは事実だ。
構造を知ったら安心だという誤解を持ってもらいたくない。
構造はスタートに過ぎず、そこから先は主治医とのカルテの積み重ねが必要なことを言っておく。
構造を知ったからこそ、・・そこに対応策(=打ち手)を入れて、それを観察したくなると思います。
一生懸命に自分の治療を観察しようとして、
主治医の先生に質問をするあなたは、
きっと先生と同じ地図を一緒にみれるようになると思います。
これが本当の「Dr.コミュニケーション」だ。
つまりあなたと先生だけの『型』を作るのがスムーズになると思う。
具体的には、
主治医に「あーこの患者さんは、きっとこういう質問をしてくるだろうな」と思ってもらう。
一方、
患者のあなたも「あーこの先生は、ここを突っ込んで聞いてしまうと『地雷』なんだ、違う言い方をしよ」と思ったりする。
会話の中で往復する回数が減ってゆき、ツーカー近くなるといいですね。
だから、次回の周期は・・根性論でない方法で、頑張ってください。(終)



